税理士試験の消費税法は法人税や所得税と比べると範囲は狭いですが、条文が独特で覚え辛いことや受験者のレベルが高くミスができないため、合格に苦労される方も多いです。
僕は激務な職場で働きながら勉強して消費税法に2年で合格しました。
(1年目は簿記論と同時受験で簿記論に注力、実質消費税の学習は1年)
この記事では、働きながらでも消費税法に合格するためのポイントを解説します。
・消費税法は合格に年数がかかる人も多い
・働きながら合格するポイント8点を解説
・理論は「理論マスター」「理論サブノート」全て覚える
・課税区分判定は「無敵の一問一答」がオススメ
僕も消費税法には苦労しました。試行錯誤して合格したノウハウを凝縮しましたので、消費税法に合格したい人は最後まで読んでください。
消費税法の特徴(実務での利用頻度が高い)
消費税とは、モノの購入やサービスの提供を受けるために支払う税金であり、個人・法人問わずに最も利用されている税法です。
生活に直結する税法であり、かつ税理士として顧客の消費税申告を行いミスをした場合に多大な影響が出るため、税理士として働く上では必須の知識です。
受かりやすい?合格率は10〜15%程度
税理士試験の各科目の受験者数や合格率は以下の表のとおりです▼
(出典:国税庁HP)
2023年の消費税法の合格率は11.9%です。例年の合格率もこの水準で大体10〜15%程度で推移しています。
受験者数は6,700人程度と税理士試験の税法の中で最も受験者数が多い科目です。
受験者数が多い理由は、実務で必須の知識であり、学習時間が比較的少なくてすむからです。
税法の中でも比較的学習しやすい科目ですので、税法1科目に受ける方や大学院で2科目免除の方が1つだけ受験する税法に選択することも多いです。
勉強時間は600時間以上
各予備校が出している税理士試験に必要な勉強時間は以下の通りです。
税理士試験の学習をしている方は、「勉強時間が少なすぎる」と思うでしょう。
それもそのはず、この勉強時間には理論の暗記時間が入っていません。
消費税法は300〜350時間となっていますが、実際は計算の学習よりも理論の学習の方が時間がかかります。実際には倍の600〜700時間は必要でしょう。
合格年数は長い(3年以上が40%超)
▼消費税の合格にかかるTwitterのアンケート結果です。
一発合格は34.3%である一方、3年以上かかっている人が40%超いることから、消費税法は税理士試験の中でも比較的年数がかかる試験だと言えます。
年数がかかってる人も多いことから高レベルでの勝負になっており、それが原因で余計に年数がかかる人が増えている状況のようです。
いわゆるミニ税法だからといって簡単ではありません。僕の周りでも苦戦する人は多かったです。法人税法に1年で合格した人が消費税法に3年かかるということもありました。
消費税法は税法では受験者数が一番多いね。でも簡単に合格する科目じゃないんだね。
実務で必須だし、学習範囲は比較的広くないからオススメの科目だね。でも、簡単に合格できるわけじゃない。適切な努力をして他の受験生に勝つことが大切だよ。
※科目の選び方についてはこの記事で紹介しています。
勉強方法(合格ポイント8点)
まず合格のポイントを一覧で記載した上で、1つずつ詳しく紹介します。
①他の受験生に勝つ覚悟を持つ
②予備校を活用する
③理論は範囲全てを覚える
④課税区分は迷わず完璧に判断
⑤直前期は毎日総合問題を解く
⑥ミスノートで凡ミスをなくす
⑦本番は平常心と素読みが大切
⑧道具にこだわる(ペン・電卓)
①他の受験生に勝つ覚悟を持つ
税理士試験は他の受験生との相対評価であり、受験生の中で上位10〜15%に入らなければ合格できません。
先ほど紹介したように、その受験生の中には何年も消費税法の学習をしている人もいます。そんな受験生達に勝たなければいけないのです。
ここから紹介するポイントは、簡単に合格するためのポイントではありません。他の受験生に勝つためにはかなりの苦労が必要です。
紹介するポイントは実際にやるのはかなり大変ですが、このポイントを抑えれば合格できるというものです。
「合格する=他の受験生に勝つ」にはそれくらい努力する必要があるのだと覚悟を持ちましょう。
②予備校を活用する
他の受験生に勝つためには独学では困難です。他の受験生は予備校を活用して、効率的に学習しますし、改正論点なども抑えて対策してきます。
その受験生に勝つためには、自分も予備校を活用して効率的に学習しましょう。
なお、予備校のオススメは「資格の大原」「TAC」です。税理士官報合格者のうち、「資格の大原」利用者が約50%、「TAC」利用者が約40%で、合わせて90%程度の人がいずれかを利用しています。
他の受験生に勝つために「資格の大原」「TAC」を活用して、その中で上位になることを目指しましょう。
③理論は範囲全てを覚える
暗記範囲は理論サブノート・理論マスターの全て
理論を覚える範囲は「理論サブノート(大原)」と「理論マスター(TAC)」の全てです。
歴戦の猛者達はサブノートかマスターのどちらかは全て覚えています。その両方をカバーしておけば、どちらかしか載っていない理論が出た時、他の受験生よりもかなり優位に立てます。また、全てをカバーしていると、自分がわからない理論は他の受験生もわからないので、本番で捨て問題を自信を持ってスルーできます。
大原生は「理論マスター(TAC)」も購入し、一通り見て「理論サブノート」に載っていない項目も覚えましょう。TAC生は逆に「理論サブノート(大原)」も購入して下さい。
※内容が同じで書きぶりが違うものは覚えなくて大丈夫です。
暗記は意味を理解して読み上げor暗唱が効果的
消費税は条文の言い回しが複雑で覚えづらいです。大切なことは、まず意味を理解することです。
大原やTACの講義で条文の意味を説明してくれますので、それを理解した上で暗記しましょう。
暗記の方法はひたすら読み上げor暗唱が効果的です。書いて覚える方もいますが、書くのは非常に時間と労力を要して非効率です。
読み上げができる状態なら、頭・口・耳3つとも活用できる読み上げが効果的です。読み上げができない状態でも頭の中でひたすら暗唱することも効果があります。(僕は食事中も暗唱していました)
コツは最初から完璧にしようとしないことです。いくら覚えても時間が経てば忘れてしまうものですから、繰り返して定着すれば良いのです。最初は予備校のミニテストをやる時だけでも暗記できている状態を目指しましょう。
・まず条文の意味を理解する
・覚えやすく区切って暗記
・予備校のミニテストは満点を目指す
・何回も繰り返して記憶に定着
・理論サブノート等は常に持つ
・少しでも隙間時間があれば暗記
・体を動かしながら暗記も効果的
理論暗記スケジュール
理論暗記は最初は覚えるのに時間がかかりますが、覚える回数をこなす毎に覚えるために必要な時間が短くなります。
過去に覚えたものは忘れてしまうので、本試験までに何度も繰り返し暗記しましょう。
大切なことは全範囲を覚え切ることです。そのための暗記ペースを定めて、それを死守しましょう。
▼参考:僕の理論暗記周回ペースです
スタディングの理論暗記ツールが凄い
スタディングの理論暗記ツールが革命的に理論暗記に効果的です。
ボタン1つで表示・非表示の更新ができて、スマホ1台でどこでも勉強できます。
理論暗記音声もあり、家事などをしながらの「ながら時間」で勉強できます。
理論暗記ツールを使うためにスタディングを利用するのもありと思うくらい素晴らしいツールです。無料で試せるので気になる方は試してみてください!
④課税区分判定は迷わず完璧に判断(無敵の一問一答がオススメ)
消費税は課税区分の判定が非常に重要で、これが正しくできるか否かが点数に直結します。
課税区分判定は迷わず完璧に判断できるようにしましょう。
課税区分判定を身につけるには「無敵の一問一答」が便利です。
税理士監修のスマホアプリで問題を解くうちに課税判定等の能力が身につきます。
▼「無敵の一問一答」の画面です。
有料版は4,800円で課税区分や納税義務等を判断する問題が1,200題用意されています。
下の解答項目を選べば正誤判定されて解説も見ることができます。
効果的な学習のためには十分に払う価値があります。
この1,200題全てを迷わず完璧に判断できるようになれば本試験で怖いものはありません。
学習には右上のチェック項目が便利で、チェックを0〜3個入れることができます。自分なりのルール付けをして迷わず判断できるようになるまで繰り返し学習しましょう。
僕はチェックの個数に以下のルール付けをして、本試験には全てをチェック3個にした状態で臨みました。
【無敵の一問一答チェックルール例】
チェックなし :未回答
✅ (1個):回答したが間違えた
✅✅ (2個):正解したが迷った
✅✅✅(3個):迷いなく正解できた
⑤直前期は毎日総合問題を解く
消費税法の試験時間は2時間です。2時間で全てを出し切らなければなりません。
本番で力を出すためには本番を想定した問題演習が非常に大切です。
予備校のカリキュラムに従って学習を進めると基本的にはゴールデンウィークまでに内容は一巡します。ゴールデンウィーク明けから約3か月は毎日総合問題を解きましょう。
なお、必ず時間を計り問題に設定されている時間以内に解くようにしましょう。
毎日の流れは以下の通りで、長くとも全体で90分程度です。
ゴールデンウィーク以降は毎日少なくともこの時間は確保しましょう。
①総合問題を解く(70分以内)
②答え合わせ(約10分)
③間違いをミスノートに書く(約10分)
解く問題は、予備校の問題集・模擬試験・過去問・市販の問題集です。毎日解けば2周できます。
こうすれば他の受験生が解いた問題で自分が解いてない問題が無くなり、本番は自分がわからない問題は他人もわからないという自信を持って臨めます。
【直前期に解くべき問題例】
大原:総合問題集 基礎編(アマゾン)
大原:総合問題集 応用編(アマゾン)
TAC:総合問題集 基礎編(アマゾン)
TAC:総合問題集 応用編(アマゾン)
▼直前期の過ごし方は別の記事で解説しています。
⑥ミスノートで凡ミスをなくす
消費税法は受験生のレベルが高いため1つのミスが不合格に直結します。
ミスを極限まで無くすため、ミスノートを作成しましょう!
ミスノートとは、これまでに自分がミスした内容をメモして同じミスを防ぐツールです。
具体的な運用方法は以下のとおりです▼
・ノートを1冊用意する(持ち運びできるサイズ)
・問題演習でミスした内容をメモする(項目ごとにページ分け)
・直前期の模試や問題演習の前に見返してミスしないように意識する
・本番直前に見返してミスをしないように意識付けして臨む
※計算のみでなく、理論の回答条文の読み違いのミスも書きましょう。
⑦本番は平常心と素読みが大切
ここまでのポイントをこなせていれば、本番は大きなミスさえなければ合格できます。
ミスをしないために、当日の平常心と素読みが大切です。
平常心のためリハーサルをする
本番を平常心で迎えるために試験会場の下見は必ずいきましょう。
また、本番直前にリハーサルのため本番当日と同じスケジュールの1日を作りましょう。これをすることで、当日は初めてではないという安心感が生まれます。
・当日と同じ時間に起きる
・当日と同じ時間に食事を食べる(出来れば食べるものも同じ)
・当日と同じ時間の電車に乗って、試験会場に行く
・試験会場近くのカフェや学習スペースに入り、試験時間まで待機
・当日と同じ時間に過去問実施(直前にはミスノート確認)
素読みに時間をかける
試験が始まったら、まず素読みに時間をかけましょう。
特に理論で問題文の読み違いをして、回答すべき条文を間違えて書いてしまうと大きく合格が遠のきます。また、計算の納税義務判定を間違うと、ほぼ合格は難しいです。
ここを間違えないように、落ち着いて素読みしましょう。
①問題の最後(何を問われているのか)をまず読む
②問題の全体を読む
③回答の概要と根拠条文の頭出しをする
④もう一度問題を全部読み、概要と条文に間違いがないか確認する
⑤解答を書く(優先順位の低い根拠条文の記入は後回し)
⑧道具にこだわる(ペン・電卓)
消費税法は短い時間でミスなく回答しなければならず、スピードと正確性が重要です。
そのスピードと正確性を向上させるためにペンと電卓には拘りましょう。
ペン(理論用と計算用)
ペンは書くスピードに関わるため、大きく合否に影響します。
僕は計算問題用のペンと理論問題用のペンは違うものを使っていました。計算問題は数字の見間違いを防ぐために細いペンを使っていました。理論問題はかなりの分量を書くので、手の疲れを防ぐために少し太めのペンを使っていました。
▼僕が税理士試験で使っていたペンはこれ
【計算問題用】
【理論問題用】
電卓(カシオがオススメ)
電卓は計算のスピードに大きく関わります。電卓によって配列が違うので自分に合うものを決めて使い慣れることが大切です。
消費税法は特に課税売上割合の計算方法が電卓毎で異なるので、本番は必ず使い慣れた電卓を使いましょう。僕のオススメはカシオ(簿記検定推奨電卓)です。キータッチの反応が速いので時間短縮できます。なお、本番には予備も含めて2つは用意しましょう。
▼僕が税理士試験で使っていた電卓
消費税法に合格しようと思ったら、かなり大変だね!
そうだね!消費税法は決して簡単な試験じゃないよ。でも、このポイントを抑えることが出来れば合格できるよ!
まとめ_他の受験生に勝つ覚悟が大切
最初に述べたように、消費税法は簡単な試験ではありません。何年も挑戦して不合格の人もいます。
その中で上位に入るためには、他の受験生よりも努力する必要があります。
非常に苦しいと思いますが、それでも諦めないでください。諦めなければ必ず合格できます!
ただし、今回、必ず合格する方法を紹介するために、かなり難しいことを書きました。ここまでしなくても合格できる人もいると思います。ご意見等があれば、是非ともご連絡ください。
最後まで読んでくださってありがとうございます。この記事を読んでくださったあなたが消費税法に合格することを心から祈っています!ご質問・ご意見等があれば、気軽にツイッターにてメッセージを下さい!
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