財務諸表論は税理士試験の必須会計科目です。簿記論と合わせて最初に受験する方も多くて「なかなか合格できない」「理論暗記が難しい」という方も多いのではないでしょうか。
僕は働きながら7年で税理士試験5科目合格しました。財務諸表論は初めて合格した科目で、直前期の模試は常に上位10%に入るくらい安定した好成績を収めていました。
今回は「財務諸表論」に合格するための7つのポイントを紹介します。
・財務諸表論の受験資格、難易度、勉強時間
・財務諸表論合格にオススメの予備校
・財務諸表論に合格するためのポイント
・効果的な理論暗記の方法
財務諸表論は僕が税理士試験で初めて合格した科目です。合格したときの喜びは忘れられません。その喜びを他の方にも感じていただきたくて記事を書きました。財務諸表論に合格したい人は最後まで読んでください。
受験資格(簿記1級は不要)
財務諸表論とは税理士試験になるために必須で合格しなければならない会計2科目のうちの一つです。内容としては、財務諸表(貸借対照表や損益計算書など)を作成する知識を問うものです。
簿記論と違って、理論問題があり、会計規則等の内容を暗記する必要があります。従って、税理士試験の中で財務諸表論に挑戦することで初めて理論暗記に取り組むことになると思います。合格のためには理論暗記の方法を身につけることが大切です。
2023年度から受験要件が緩和されて誰でも受験可能になりました。それまでは簿記1級や大学の単位が必要でしたが全く不要です。
財務諸表論を受験する前に簿記論に合格しておく又は簿記論と同時に受験することをおすすめします。簿記論の知識が財務諸表論の基礎になるからです。
難易度
税理士試験の各科目の合格率は以下のとおりです▼
出典:国税庁HP(グラフは当ブログ管理作成)
財務諸表論の2024年の合格率は8.0%(2023年は28.1%で2022年は14.8%です。2024年は特別に合格率が低かったです)。合格率は例年15〜20%程度で推移しており、税理士試験の科目の中では比較的合格率が高い試験です。
受験者数は簿記論に次いで2番目に多い科目です。簿記論と同時に最初に受験する人が多い科目でもあり、受験者の中にはまだ合格水準に達して居ない人もいるため、税理士試験の中では比較的難易度は低い方です。
勉強時間(800~1,000時間程度)
各予備校が出している勉強時間は以下のとおりです
実際に学習をしている人は「少なすぎる」と思うでしょう。実際にはこの時間程度では合格できません。なぜなら、この時間には理論の暗記時間が入っていないからです。
財務諸表論は会計科目でありながら理論暗記が必要です。税理士試験で最初に理論暗記をする科目になる人も多いので、理論暗記のやり方を身につけるのに苦労すると思います。計算よりも理論に時間がかかるので倍の800~1,000時間程度かかると思った方が良いでしょう。
ただし、大切なのは時間ではなくて内容です。2,000時間かけて勉強しても合格しない人もいますし、逆にポイントを押さえれば少ない時間で合格する人もいます。
大切なことは勉強の量ではなく質です。この記事でポイントを説明しているので読んでください。
受験順序(簿記論と同時もあり)
財務諸表論は必須科目であることに加えて、財務諸表論の知識が税法科目にも必要となりますので、簿記論の次に受験することがおすすめです。勉強時間を多く取れるという方は簿記論と同時に2科目受験することもありだと思います。
科目の選び方や受験順序についてはこの記事にまとめています▼
財務諸表論と簿記論が初めの方に受けるべき科目なんだね!
財務諸表論と簿記論が必須科目だからね。この二つに合格できれば税理士試験の会計科目は完了。資格取得にかなり近づくよ!
独学は困難→予備校活用(大原・TAC・スタディング)
財務諸表論に合格するのに独学は困難です。なぜなら、税理士試験は相対評価の試験でだからです。
合格するためには他の受験生に勝たなければならず、他の受験生は基本的に予備校を活用して勉強を進めるので、合格しようと思ったら予備校を利用すべきです。
オススメの予備校は資格の大原・TAC・スタディングです。
資格の大原:合格実績1位(受験者の50%程度)
TAC:合格実績2位(受験者の40%程度)
スタディング:圧倒的なコスパ(簿財2科目で59,800円)
資格の大原
「資格の大原」は税理士試験予備校の最大手です。ポイントは何と言っても圧倒的な合格実績。
例年、税理士試験の官報合格者(5科目合格)の半数程度が大原生です!
TAC
TACは合格実績を2022年(令和3年)までしか公開していませんが、2022年の税理士試験で官報合格した620人のうち、TACの受講生は289人(46.6%)です。
大原の合格者占有率が50%以上なので、TACと大原で90%以上を占めており、税理士合格者のほとんどが大原かTACを受講しています。
スタディング
スタディングは川口春奈さんのCMで最近話題で、会員数は急増しています。
2023年度の税理士試験合格体験記には488名が掲載されており、かなりの受講者が合格しています。特に簿財2科目で59,800円のコース(2年目の受講は無料)が人気です。大原・TACの1科目20万円程度、2科目40万円程度と比べると破格の値段です。
また、そのスタディングのみで簿財2科目に合格したという合格者の声もあり、スタディングだけでも合格できるようです。
【簿財2科目合格】効率的に勉強を進められるツールが揃っており、合格までつなげることができたため、スタディングを選んで本当に良かったと思っています。
スタディング税理士講座合格者の声(2022年 しゅひー2324さん)から引用
▼スタディングについてはこの記事で解説しています
財務諸表論は簿記論と併せて最初に受験する方も多いと思います。特に最初は予備校を活用して学習習慣を作ることも大切です。
合格のポイント7選
ここからは財務諸表論に合格するための7つのポイントを紹介してきます!
①理論の覚え方(理論問題集を活用)
②ミスなく確実に回答する
③難しい問題は後回し
④過去問を早めに1度解く
⑤直前期は毎日問題演習
⑥ミスノートを活用
⑦自分に合った道具でミス削減
①理論の覚え方(理論問題集を活用)
財務諸表論は会計科目ですが理論暗記が必要です。理論暗記のためには予備校の「理論問題集」が非常に役に立ちます!
暗記すべき理論が体系的に綺麗にまとまっていて、暗記する部分が赤字になっているので、そこだけ隠して暗記することができます。自分がすぐに見える状態にして、いつでも持ち歩くことがおすすめです。
財務諸表論の理論は重要語句をしっかり覚えることが大切です。理論問題集では赤字になっています。それ以外の部分は文脈があっていれば問題ないですが、赤字部分は完璧に覚えなければいけません。
また、財務諸表論で税理士試験の暗記を初めてする方も多いと思います。財務諸表論で暗記のやり方を身につけることも大切です。やり方は人それぞれですが、僕のおすすめはひたすらに暗唱するということです。
書いて覚える方が覚えやすいという方もいらっっしゃいますが、覚える量が多くて書いていると時間が足りません、頭の中繰り返して暗唱して覚える方が効率的です。
覚える順序は大原であれば予備校のカリキュラム通りにしてください。大原のカリキュラムは非常に整っていますので、カリキュラム通りに暗記を繰り返せば問題なく合格できます。
※TACを使っていた方からはTACのカリキュラムでは間に合わないと聞きました。予備校ごとでカリキュラムに差があることは理解しておいてください。
また、一度覚えたものをしばらくして忘れてしまうことを不安に感じるかもしれませんが、忘れてしまってもいいのです。暗記を繰り返すと、覚えるためにかかる時間が減ってきます。
最初は、1センテンスに1時間かかっていたものが、2回目は40分、2回目は30分、3回目は20分という具合に減ってきます。その状況でカリキュラム通りに進めば、直前期に短い時間で暗記を周回することができるので、十分合格できる状況になります!
①条文を2,3行程度で区切る
②1区切り全てを暗唱できるよう覚える(暗唱or音読)
③次の区切りを覚える
④指定範囲全てを暗唱できるように覚える
⑤忘れても同じ方法で覚え直す
⑥①〜⑤を繰り返す
※繰り返すごとに必要な時間が短縮します
▼全受験生にオススメ
②ミスなく確実に解答する
財務諸表論は他の税理士試験の科目に比べて比較的時間に余裕のある科目です。簿記論と比べても比較的時間に余裕があり、年にもよりますが問題全てを解答することも可能です。従って、ミスをしてしまうと他の受験生と比べて点数が落ちてしまいます。全体的にミスなく解答することが大切です。
なお、もしも時間が余っても、試験が終わるまで1点でも多くの点を取るという気持ちを持って時間を使いましょう。その強い気持ちが合格を引き寄せます。
③難しい問題は後回し
比較的時間があるといっても税理士試験ですので、時間があまりすぎるということはなく、結構ギリギリになります。また、全員が満点取れるような試験であれば差がつきませんので、難しい問題も含まれています。
難しい問題に時間を取られすぎると、時間が足りなくなってしまったり、基本問題を焦ってミスしてしまうこともありますので、難しい問題は勇気を持って後回ししましょう。難しい問題は他の受験生も解けません。
そのためには、最初に問題全てをさっと読む素読みが非常に重要です。
最初に全ての問題を見ることで、どの問題にどれくらいの時間をかけるべきか判断できます。
また、進めていて、簡単に解けそうだと思った問題であっても1分程度考えて手が止まったら、その問題は後回しにして次に進みましょう試験本番は非常に緊張しますので、基本論点を急に忘れることもありますが、次の問題をといてまた戻ってくれば思い出すことが多いです。
④過去問を早めに一度解く
財務諸表論は簿記論と併せて税理士試験で初めての科目になる人が多いと思います。また、基本的に理論問題は財務諸表論が初でしょう。
まずは、本番の試験がどのようなものかイメージするために早めの時期に過去問を解いてみましょう。理想は年内までに1度解いてみるべきです。これにより本番までに必要な対策がイメージできます。
⑤直前期に毎日問題演習
財務諸表論を含めて税理士試験の試験時間は2時間です。それまで1,000時間程度かけて勉強した成果を2時間で精一杯出し切らなければなりません。本番で自分の力を最大限に出すためには問題演習が非常に大切です。
予備校のカリキュラムに従って学習を進めると基本的にはゴールデンウィークまでには内容は一巡します。ゴールデンウィーク明けからは毎日総合問題を解きましょう。
毎日の流れは以下の通りです。全体で90分程度です。ゴールデンウィーク以降は毎日少なくともこの時間は確保しましょう。
①総合問題を解く(70分程度)
②答え合わせ(10分程度)
③間違えた問題をミスノートに書く(10分程度)
※解く前にミスノートを確認してミスを減らしましょう
直前期の勉強方法はこの記事にまとめています▼
⑥ミスノートを活用
財務諸表論はいかにミスなく解答するかが大切です。そのためにミスノートを作成しましょう!
ミスノートとは、これまでに自分が問題を解いてミスした内容をメモして、同じミスをしないようにするツールです。
具体的な運用方法は以下のとおりです▼
・ノートを1冊用意する(持ち運びできるサイズ)
・問題解答でミスした内容をメモする(項目ごとにページ分け)
例:「減価償却費」項目 月数按分を忘れた など
・直前期に過去問や模試の前に見返してミスしないように意識する
また、ミスノートは計算問題で活用することが多いですが、理論部分にも使いましょう。理論問題で解答すべき条文や規則を間違えてしまうと、それだけで大きな点数を失ってしまい不合格になってしまいます。
解答条文の間違いは問題文の解釈を間違えることから発生します。本番で読み違いをしないためにも、過去問や模試の理論問題で読み違いをした場合は必ずミスノートにメモをしましょう!
⑦自分に合った道具でミス削減
ミスなく時間内に基本問題を確実に解答するには、自分に合った道具を使うことだ大切です。
特に、ペンと電卓には拘りましょう。
ペンは書くスピードに大きく関わりますし大きく合否に関わってきます。
しっぽは計算問題用のペンと理論問題用のペンは違うものを使っていました。計算問題は数字の見間違いを防ぐために細いペンを使っていました。理論問題はかなりの分量を書くので、手の疲れを防ぐために少し太めのペンを使っていました。
▼僕が税理士試験で使っていたペン
【計算用】
【理論用】
電卓は計算のスピードに大きく関わります。電卓によって配列が違うので自分に合うものを決めて使い慣れることが大切です。僕はカシオ(簿記検定推奨品)がおすすめです。キーが物凄く打ちやすくて時間短縮・ミス防止に繋がります。
なお、試験当日には予備も含めて2つは用意しましょう!
▼僕が使っていた電卓
財務諸表論は理論暗記もあるんだね!
そうだね。暗記の分量はとても多いから暗記のやり方を身につけることも大切だね。自分なりのやり方を掴むことが合格への近道だよ!
まとめ_財務諸表論は理論の覚え方を身につけて重要語句をしっかり覚えよう!
財務諸表論は会計科目でありながら理論暗記が必要です。理論を覚えるためには、理論暗記のやり方を身につけて、ひたすらに繰り返すことが大切です。
理論暗記がしっかりできて、計算問題も基本問題をミスなく確実に解答することができれば合格できます!自信を持って試験に挑みましょう!
そして財務諸表論で理論の暗記のやり方を身につければ、この後に受ける税法科目も合格がしやすくなります。財務諸表論の学習を通じて、税理士試験の理論暗記のやり方をしっかりと身につけましょう。
最後まで読んでくださってありがとうございます。財務諸表論は理論暗記がしっかりとできれば合格できます。この記事を読んでくださった皆様が財務諸表論に合格することを心から祈っています!他にも税理士試験合格のための記事を書いてますので、ぜひ見てください!
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