僕は働きながら税理士試験5科目に合格しました。(合格科目:簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・消費税法)
税理士は科目合格制の資格であり、5科目の試験に合格すれば税理士資格を取得できます。税理士を目指す場合にどの試験科目を選択するか迷う方も多いでしょう。
今回は働きながら税理士試験に合格した経験や他の税理士に聞いた内容を踏まえて、選択科目をどのように決めればいいか解説します!
・税理士試験各科目の特徴、合格率、勉強時間を解説
・科目毎の選択の考え方を解説
・オススメの選択パターン4選を紹介
税理士試験に挑戦するにあたって科目選択は非常に重要です!この記事では働きながら5科目合格した経験を活かして、科目選択の考え方を解説します。科目選択に迷う人は最後まで読んでください!
科目選択の全体像
税理士試験は科目合格生であり、5科目に合格すれば資格取得できます。
5科目の内容は会計2科目(簿記論・財務諸表論)と税法3科目です。
会計2科目は必須であり、税法3科目は9科目の中から選ぶことになります。なお、税法の中で法人税法と所得税法はいずれかが必須です。
税理士試験の科目を図で表すと以下のようになります▼
会計2科目は必須なので選択の余地はありませんが、税法3科目は自分で選択することとなります。
この科目選択によって、自分がどのような税理士になるかや税理士試験合格までにかかる時間が大きく変わりますので、科目選択は非常に重要です。
受験順序
税理士試験は以下の順序で受験することがおすすめです▼
【税理士試験おすすめ受験順序】
①簿記論
②財務諸表論(簿記論と同時でも可能)
③法人税又は所得税
④⑤ その他税法
この順番で受験すべき理由はこれから解説します。なお、その他税法の受験順序も最後に解説しています。
税理士試験はいろんな科目から受験科目を選ぶんだね。しっぽはどうやって選んだの?
僕は税理士になった時を考えて、いろんな人のお役に立てるように実務に活かせる科目を選んだよ!ここから各科目の特徴や選ぶときのポイントを紹介していくよ!
各科目の特徴
科目一覧
科目一覧と各科目の特徴は以下の通りです▼
選択科目によって内容が全く違うので、税理士になった時の得意な仕事の範囲が変わります。
また、科目によってボリュームに大きく差があり、税理士合格までにかかる期間も変わってくる可能性があります。
難易度・合格率
各科目の受験者数・合格率等は以下のとおりです▼
各科目の合格率は10~15%程度です。(2023年の財務諸表論の合格率は28.1%と高かったですが2022年は14.7%です)
各科目の勉強時間
各科目の勉強時間は一般的に下の図が使われます▼
この時間は最低限の範囲を一通り学習することに必要な時間であって、これだけ勉強すれば合格できるというものではありません。
また、上の時間には理論暗記に要する時間が入っていません。合格するためには理論暗記に非常に時間がかかります。
この前提の上で、ある程度のボリューム感を知るための表として見てください。
簿記論
簿記論はいわゆる簿記検定の難易度が高いバージョンです。
また、税理士試験で唯一理論暗記がなく計算問題のみの試験です。
税理士試験の学習をする場合に、まず最初に簿記論を選択するのが一般的だと思いますが、しっぽもそれをオススメします。
理由は、簿記論・財務諸表論が必須科目であり、これに合格しなければ税理士になれないことに加えて、簿記論の知識は他の科目にも必要になってくるからです。
簿記論が税理士試験に挑戦するための最初の関門と言えるでしょう。
財務諸表論
財務諸表論は法人の財務諸表(貸借対照表・損益計算書など)を作成する科目であり、簿記の計算力に加えて会計理論を暗記する知識が必要となります。
簿記論と並んで会計学として必須科目であり、簿記論と財務諸表論は範囲が重なる部分が多いので、簿記論のすぐ後か簿記論と同時に受験することがオススメです。
なお、時間に余裕のある受験生は簿記論と財務諸表論の両方の学習を進めることも多いですし、1年で2科目合格することも不可能ではない科目です。
所得税法
ここからは税法の紹介です。税法の中で、所得税法か法人税法のいずれか一つが必須科目です。
所得税は個人の所得に対する税金であり、個人の確定申告作業を行う場合の必須知識であり、税理士として個人の確定申告作業を行いたいという人は選択すべき科目です。
また、法人税法と比べると比較的ボリュームが少ない科目ですので、最小限の労力で、できるだけ早く税理士試験に合格したい方は法人税ではなく所得税を選択すべきでしょう。
法人税法
法人が支払う法人税を計算する科目であり、所得税と並んで税法必須科目のうちの一つです。
税理士として企業の確定申告作業を行う場合の必須知識であり、税理士法人の中では法人税法の合格を採用要件としているところもありますので、今後法人向けの税理士になりたい人は必ず選択すべき科目です。
なお、ボリュームは税理士試験の中でも最大となっており、法人税法に合格できれば税理士試験に合格できると言っても過言ではないでしょう。
法人税は法人の決算に基づいて計算されるので、会計科目(簿記論・財務諸表論)の知識が大前提で必要となります。また、所得税も同様に会計知識が必要です。従って、会計科目を合格後に税法科目として最初に所得税か法人税を受験することがオススメです。
相続税法
個人の相続に係る相続税に関する科目です。
相続税は非常に複雑な税金であり、税理士に依頼されることが多く、税理士報酬も多額になりやすいです。
相続税の対応ができる税理士は多くはなく、相続対応ができるだけで税理士の中でもアピールポイントになります。
ただし、ボリュームは所得税・法人税と並んで多い科目であり、合格するためには多くの労力が必要です。
労力をかけてでも、将来的に相続対応ができるという強みを持ちたい方は選択すべき科目でしょう。
消費税法
消費税は法人であっても個人事業主であっても関係する税金であり、申告ミスがあった場合の影響が大きい税金ですので、個人・法人のいずれを主な顧客とする場合でも知っておくべき科目です。
必要な知識であるにもかかわらず、ボリュームは所得税・法人税ほど多くはないので、しっぽとしては全員が選択すべき科目であると思っています。
その他ミニ税法(酒税法、国税徴収法、住民税法、事業税法、固定資産税法)
ここまで説明した科目以外の酒税法、国税徴収法、住民税法、事業税法、固定資産税法はボリュームが少ないのでミニ税法と言われます。
実務に活かす観点であれば、上に紹介した科目を選択すべきですが、少ない労力で出来るだけ早く税理士になるのを目指す場合は選択肢として入ってくるものだと思います。
ただし、しっぽはこれらの科目を選択することはあまりオススメしません。
なぜなら、税理士試験は相対評価の試験であり、周りの受験生よりも高い成績を収めなければなりません。これらの科目はボリュームが少ないからこそ、合格するためにはほぼ満点の得点を取らなければならず、少しのミスも許されません。
合格する能力があっても当日の少しのミスで不合格になります。
税理士試験は1年に1回しかなく、不合格の場合はまた1年後に受験しなければなりません。そう考えると早く税理士になりたいと考えてミニ税法を選択したものの、余計に合格に時間がかかる可能性もあります。
しっぽはミニ税法を選びませんでしたが、他の受験生で最後のミニ税法につまづいて合格に時間がかかってしまった人を何人か見ています。
それぞれの科目で特徴が違うんだね。どうやって選べばいいのかな?
科目選びは凄く迷うことだと思うよ。ここから科目選びのポイントを解説していくよ!
科目選択のポイント
将来どんな税理士になるか明確にする
上で説明したように、将来どんな税理士になりたいかで選択すべき科目が変わってきます。従って、科目選択の前に自分が将来どんな税理士になりたいかを明確にすることが大切です。
自分がどんな税理士になりたいかを明確にできたら、それに基づいて選択科目を選んでください。例えば、個人中心なら所得税選択、法人中心なら法人税選択、相続に強みを持ちたいなら相続税選択といったように選ぶことがオススメです。
いつまでに税理士になるか明確にする
また、自分がいつまでに税理士になるかの期限を明確にすることも大切です。
税理士試験は科目ごとでボリュームが違うので、科目選択によって勉強に必要な時間は大きく変わります。
ある程度期間がかかっても問題がない場合は、必要な知識を得るために相続税などのボリュームの大きい科目を含めて、将来的に必要な科目を選択すべきです。
しかし、実務知識は税理士になってからでも取得できますので、そんなに期間をかけられない、出来るだけ早く税理士になりたいという場合は、とにかくスピード重視の科目を選択することもありです。
自分の特徴を考える
税理士試験の科目は自分の特徴を踏まえて選択すべきです。
税理士試験の税法は大きく分けるとボリュームの大きい所得税・法人税・相続税とボリュームの小さい消費税・その他ミニ税法に分かれます。
先に述べたように税理士試験は相対評価であり、ミニ税法はボリュームが小さい分、少しのミスが命取りになります。本番でミスをしやすい人やミスが怖い人はミニ税法はオススメしません。
一方、ボリュームの大きい科目は他の受験生も完璧ではないので、能力を高めれば少しのミスをしても問題ありません。適切な努力ができれば、ほぼ確実に合格できるという状況にすることができます。
労力をかけてでも多少ミスをしても問題ない状態で本番に臨みたい人はボリュームの大きい科目を選択すべきです。逆に、ミスが怖くない、最小限の労力で合格したいという人はミニ税法を選ぶことも選択肢です。
将来どんな税理士になりたいかで選択する科目が変わるんだね!
そうだね。勉強のモチベーションにも繋がるから、自分の将来像を明確にイメージすることが大切だね!
科目選択おすすめパターン4選
ここから、科目選択のおすすめパターンを紹介します。
全てのパターンに消費税は入ります。これは消費税の項目で説明した通り、消費税は法人でも個人事業主でも関わることに加えて、ボリュームがそこまで多くないので、選択しないメリットがないからです。
他の科目は自分が将来どんな税理士になりたいかなどによって変わってきます。
科目の選択パターンは以下のとおりです。なお、書いている順番で受験するのがおすすめです。
①オールラウンダー(法人・所得・消費)※しっぽはコレ
所得税と法人税は両方ともボリュームが大きいので、一般的にこの選択をする人は少ないと言われていますが、しっぽはコレをオススメします!
なぜなら、このパターンであれば法人も個人も両方の税金に対応できるからです。これに加えて相続税は実務で学べば、税金に関しては何でも対応できるスペシャリストということになります。
また、所得税と法人税を両方取るのは大変だと思われますが、実は法人税と所得税は重なる範囲が多く、片方を取れればもう片方はそこまで大変ではありません。
しっぽは法人税取得の次の年に所得税を取得できましたが、法人税の知識があったので所得税はそこまで苦労を感じませんでした。
②法人重視(法人・消費・相続)
これは、一般的に税理士法人などで勤務する場合などに推奨されているパターンです。
また、法人税や相続税は税理士報酬が高いので、税理士になって稼ぎたいという方にはオススメのパターンです。
③個人重視(所得・消費・相続)
税理士として個人の税金の手助けをしたいという方にオススメのパターンです。
個人向けであれば、個々人のお金ひいては人生に関わることも多いのでやりがいも感じやすい働き方だと思います。
④スピード重視(所得・消費・ミニ税法)
とにかく最小限の労力で、出来るだけ早く税理士になりたいという人にオススメのパターンです。
まずは、とにかく早く資格を取得して、実務力は実務をしながら身につけるという方法もあるので現実的な選択肢でもあると思います。
人に合わせていろんなパターンがあるね!
しっぽは①のパターンだけど、その人の状況や目指す将来像によってオススメのパターンは変わってくるよ!
まとめ 自分の将来像に合わせた科目選択をする!
税理士試験は多くの科目があり、科目によって内容やボリュームは大きく異なります。どの科目を選ぶかによって、得られる知識の内容や係る労力が変わってくるので、科目選択は非常は非常に重要です。
科目選択のポイントは自分の将来像を明確にすることです。自分の将来像を明確にした上で適切に科目選択をすることで、思い描く未来を掴み取っていきましょう!
最後まで読んでくださってありがとうございました!税理士試験の具体的な勉強法などは、他の記事で紹介していますので是非見ていって下さい!
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